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お役立ちコラム

よくわかる透析の基礎知識

2017.3.23

CKD ~慢性腎不全~ 透析療法(1)

横浜第一病院
院長 大山 邦雄

腎臓というのは大変複雑な構造と機能を持っている臓器です。構造から言うと、大きく分けて二つの器官があります。一つは、血液をろ過するための毛細血管の集まりである糸球体です。もう一つは、糸球体でろ過された血液成分(原尿)から水や電解質など体に必要な物質を再吸収し、不必要なものを分泌する機能を持つ尿細管です。この二つの組み合わせをネフロン(図1)と言い、一つの腎臓に約100万個あります。血液が糸球体でろ過された原尿が尿細管を通る間に濃縮(再吸収と分泌)されて、尿として排泄されるわけです。腎臓はこの多数のネフロンと血管系とこれらを支える間質で形成されています。

 

腎臓の何らかの異常が進行していくと、ヒトの体全体、特に体液を一定に保つこと(恒常性)が維持できなくなり、腎不全から尿毒症に進行して透析療法が必要になります。これまで、腎臓の異常は糸球体腎炎、糖尿病性腎症、SLE腎症、腎硬化症など多数の病気ごとに論じられてきましたが、現在は腎機能の障害の程度(重症度)に応じて議論されるようになりました。それが慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)(注1)という考え方です。即ち、原因が何であっても慢性的に腎障害がある状態をCKDというわけです。腎臓の異常を示す指標として糸球体ろ過量(GFR)と尿たんぱく量が重要とされており、その二つの指標を段階的に分けたものがCKDの重症度分類です(図2)。日常診療では多くの場合、GFRの値は推算GFR(eGFR)(注2)が使用されます。

CKD重症度分類で、緑色部分(G1A1,G2A1)以外はすべてCKDと診断されます。そして腎機能障害が進行するとG3からG5に悪化していくことになります。ほとんどの透析患者さんはG5(末期腎不全)の段階に入ります。腎機能障害で通院していて、不幸にもG5まで進行した場合はそろそろ透析療法の適応を考えなくてはなりません。
次回「CKD~慢性腎不全~ 透析療法(2)」は、腎不全から透析療法の基本的なお話をしたいと思います。