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お役立ちコラム

よくわかる透析の基礎知識

2023.3.10

カリウムについて

吉祥寺あさひ病院
院長 有村 義宏

カリウムは、成人の体に120 g~200  g含まれているミネラルです。大部分は細胞の中にありますが、一部は血液やリンパ液など(細胞外液)や骨にも含まれています。
カリウムは、細胞内と細胞外の水の出入りを調節したり、神経刺激の伝達や筋肉の収縮を調節しています。

カリウムは肉や野菜、果物などの細胞の中に多く含まれています。飲食で摂取したカリウムは小腸で吸収された後、血液を介して全身の細胞に運ばれます。血液中のカリウムは腎臓の働きにより尿に排泄されることで、一定に調節されています(基準値:3.5 ~5.5 mEq / L)。しかし、透析患者さまは尿が充分に出ないため、カリウムが細胞の中や血液に溜まりやすくなります。高カリウム血症では無症状のこともありますが、図1に示すように唇の周囲や手足のしびれ、知覚過敏(顔や舌への刺激に過敏)、下肢の筋力低下、脱力感、吐き気や動悸・脈の乱れなど起こし、時には重症の不整脈から心臓停止による突然死を招きます。図1 高カリウム血栓の症状

高カリウム血症を防ぐには、 ①充分な透析、 ②食事療法(カリウム制限食: 1日2,000 mg以下)、 ③薬物療法(高カリウム血症改善薬;カリメート、ケイエキサレート、ロケルマなど)の3つの方法があります。食事療法にはコツがあります。図2で示すようにカリウムは食材によって含まれる量に違いがあります。図2 主な食品のカリウム含有量

このため、カリウムを多く含む食品の摂取を抑えること、また細胞の中のカリウムは煮たり茹でたり、水に浸すことで減らせます。このような食事の工夫で高カリウム血症を防ぐことができます。また、災害などで充分な透析ができない場合などによる高カリウム血症に備えて、高カリウム血症改善薬を常備しておくことも大切です。