2021.9.16
透析患者さまの食事の注意点としては、たんぱく質やカリウム、リンの話が多く挙がりますが、他の栄養素はどうでしょうか。ビタミン・ミネラルの中で、特に食事制限や透析治療で不足しやすいと言われている栄養素について挙げます。
ビタミンD
カルシウムやリンの吸収を促進し、骨の形成と成長を促します。ただし腎不全の状態では働きが十分ではないので、透析患者さまでは必要に応じて薬剤で補われます。
ビタミンB群
エネルギー代謝や成長に関わります。不足すると、疲労感・皮膚炎等の症状が出ることがあります。
ビタミンC
皮膚や細胞のコラーゲンの合成や、鉄の吸収の促進に関わります。不足すると筋肉減少の原因にもなります。
鉄
ヘモグロビンや各種酵素を構成します。不足すると鉄欠乏性貧血、無力感、食欲不振の症状が見られます。
亜鉛
たんぱく質と結合して、構造の維持・調節などに関わります。不足すると皮膚炎や味覚障害、慢性下痢、低アルブミン血症、認知機能障害などの症状が見られます。過剰摂取では銅の吸収障害から貧血を起こすことがあります。
食事量の不足や偏りから栄養素不足がおきてしまうと、疲れやすい、肌が荒れるなどの影響が出ることがあります。逆に、一つの栄養素にこだわりすぎても、過剰になることがあり危険です。多くの食材を少しずつ、を心掛けましょう。
サプリメントやいわゆる健康食品は栄養素の過剰摂取につながりやすいので、必ず主治医に相談しましょう。
【お役立ちクイズ:こんなときはどっち?】
体力を保ち、元気に活動するためには、食事からエネルギーを摂ることが大切ですが、「おかずを食べているから大丈夫」と主食を控える方もいらっしゃいます。
ご飯1杯(180g)と豚もも肉(脂身つき)(ソテー用1枚90g)では、どちらのエネルギー量が多いでしょうか?
(答えは次回の栄養部だよりでお伝えいたします)
「お口の変化はありませんか」でのクイズ
「中華麺 VS そば」リンが低いのはどっち?
答え:ご飯を基準としたときリンが低いのは「中華麺」
・リン含有量
ご飯(180 g):61 mg < 中華麺・生1玉(120 g):79 mg < そば・生1玉(140 g):238 mg
食事をしっかり摂り、暑さに負けない体力作りをしましょう。