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医療トピックス

2023.4.24

生活リズムを整えて、体調を改善しよう!~各クールの特徴~① 医師の視点から

横浜第一病院
院長 吉村 吾志夫

血液透析患者さまの生活リズムと体調の維持

血液透析療法は通常、週 3 回、1 回 4 時間程度行います( 4 時間× 3 日= 12 時間/週 )。常に働いていた腎臓の代わりを( 24 時間× 7 日= 168 時間 / 週 )、それだけの時間の透析で代行しなければなりません。だからこそ、透析療法に入れば、食生活を含めた生活の管理は重要となり、生活のリズム、サイクルを変える新たな取り組みが必要となります。人間は3食を起点として、午前・午後・夜間と生活リズムがありますが、透析を開始するとこのリズムが一日おきに、崩れてしまいます。

 

午前クールの患者さまでは透析を終了し帰宅すると昼食が、夜間帯の方では夕食がずれ込みます。健常者よりも透析患者さまはたくさんのエネルギー摂取が必要で( 30-35 kcal/kg/日 )、痩せていると将来的な死亡リスクが高くなるため、エネルギー量不足には要注意です。通勤で仕事をされている方・自営業の方・仕事をされていない方・学生の方など透析患者さまの背景はさまざまです。主に透析日の食事などの生活リズムをどうするかについては、担当医とよく話し合って方針を立てることが肝要です。

透析治療ではたんぱく質やエネルギーが失われ、1 回の透析で消費されるエネルギー量は約 200 kcalといわれています。したがって間食が必要となることも多いですが、「エネルギー・たんぱく質・カリウム・リン・食塩・水分」の摂りすぎにならないようにしなければなりません。就寝前の摂食についても避け、2 時間前位までに済ませておくべきでしょう。細かくは書ききれませんが、3 食の量があまり食べられない人、たんぱく質は摂れているけれども主食があまり食べられない人、主食は食べられるけれどもたんぱく質が食べられない人、それぞれおすすめの食べ物がありますので、担当医とご相談ください。基本的な透析の知識を学び、透析を導入した後も無理なく生活することができるようにせねばなりません。十分な休養と睡眠を取り、生活リズムを乱さないように心がけましょう。ご自宅でも体重を測定し、適性体重(ドライウエイト)を維持するよう心掛けてください。水分や塩分の摂りすぎにも要注意です。医師や管理栄養士から説明された食事を守り、毎日の食事メニューを楽しいものにしましょう。

また、ストレスを溜めないようにして、適度な運動も必要です。ラジオ体操などの手軽な運動は体力を維持し、ストレスの解消、血圧の安定、便通改善など多くの効果があります。透析治療により、良好な状態を保ち、元気な毎日を送るためにもっとも大切なことは、患者さまご自身の日常生活における自己管理なのです。