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医療トピックス

2020.2.17

4時間以上の透析のメリットについて(1)医師の視点から

鶴ケ峰クリニック
院長 杉田 敦

透析治療は本来腎臓が常時行っている働きを短期間に集中して代行する治療です。そしてこの透析治療時間は週3回、1回4~5時間が標準的となっています。本来は24時間働いている腎臓ですので、それを4~5時間の透析で賄おうというので十分とは言えませんが社会生活を送るために必要最低限度の時間と考えられています。

近年、長時間透析という週18時間以上(週3回の場合、1回6時間以上)の透析治療を行っている患者さまも増えてきています。では、透析時間を増やすことのメリットはどういった事があるでしょうか。

1番のメリットは何といっても死亡リスクの減少です。図1は日本透析医学会からの引用ですが一般的な週3回透析の場合、標準的な1回4時間の透析を基準とすると、それより短時間透析の場合の死亡リスクは透析時間が5時間までは長いほど低くなることが報告されています。国際的な研究でも4時間未満透析患者の死亡リスクが高く、4時間半までは透析時間が長い患者群ほど死亡リスクが低下する結果が認められています。このように死亡リスクの低下の観点から国内外で4時間以上の透析が推奨されています。

他のメリットは、透析時間が伸びることで尿毒素の除去量を増加させ透析量を増大することができます。特に短時間透析では除去しにくいβ‐2マイクログロブリンや無機リンなどの除去がより可能となり透析アミロイドーシスや血管の石灰化などの合併症が少なくなります。さらに、血清リン値が低くなればリン吸着薬の減量へもつながります。 また、除水目標量が同じであれば、透析時間の長い方が除水速度を遅くでき、急激な除水に伴う種々の合併症(透析中の急激な血圧低下、下肢のこむら返りなど)を回避しつつドライウェイトへの達成が容易となり透析後の疲労感や倦怠感も減ることでしょう。

このように、4時間以上の透析のメリットは様々あります。透析時間が延びることは自分の時間が無くなるからストレスだと感じてしまう方も多いかもしれませんが透析室スタッフとのコミュニケーションの時間が増えると考えてみては如何でしょうか。より多くの情報を共有でき良好な関係の構築ができれば4時間以上の透析もより快適に過ごせるかもしれません。