2019.9.27
血液透析は多くの方が1回4時間、週3回のスケジュールで受けられていると思われますが、本来の腎臓は１日24時間、１週間では168時間働いており、血液透析の4×3=12時間では明らかに不足であり、近年は以下のような理由でもより長時間の透析が勧められています。
《透析後の疲労感が軽くなる》
ゆっくりと除水や尿毒素除去を行うため、血圧低下や疲労感が少なくなります。
《貧血が改善する》
造血を阻害する尿毒素の除去や栄養状態の改善などにより、貧血の改善がみられます。
《高血圧が改善する、心不全予防に有効》
除水が緩やかにできるため十分な除水ができやすく、血圧のコントロールが良好となる例が多くみられます。十分に除水できることで、心不全予防にも有効です。
《栄養状態が良くなり免疫力アップ》
十分な尿毒素除去により食事制限が緩和され、また味覚障害も改善し、食欲増進の結果、栄養状態や免疫状態の改善が期待できます。
《皮膚のかゆみや黒ずみが改善する》
皮膚の掻痒症（かゆみ）や色素沈着（黒ずみ）の原因となっている尿毒素がより除去され、改善が期待できます。
《骨や関節疾患対策》
アミロイドーシスという骨や関節疾患の原因であるβ2ミクログロブリンという尿毒素が一層除去でき、この疾患対策に有効とされています。
《薬が減らせる》
降圧剤、造血剤、リン吸着剤や高カリウム血症治療薬などが減量可能となるという報告があります。
《長生き、健康寿命延長》
生命予後改善つまり寿命が延びることが判明しており、様々な合併症の減少により健康寿命（自立した生活が送れる期間）の延長が期待できます。
透析時間を延長すると緩やかにより多くの尿毒素や水分を除去できるため、合併症の低減や栄養状態の改善などが期待でき、その結果として生命予後の改善（寿命が延びる）が認められています。
とはいえ、やみくもに寿命を延ばそうというのではなく、自立した生活ができる『健康寿命』を延ばしていただきたいと思います。特に透析時間が4時間未満では前記の点で著しく劣っておりますので、最低4時間、いま4時間の方は30分ずつでも延長してみましょう。
