MENU 使い方
ガイド

私たちは、患者さま、お客さまへ
トータルサービスを提供する
医療・福祉グループです。

文字サイズ
標準
背景色

採用情報

CLOSE

お役立ちコラム

医療トピックス

2022.1.19

心エコー巡回サポートへの取り組み

透析患者さま巡回心エコー
心電図サポートセンター
課長代行 臨床工学技士
須藤 隆幸

「透析患者さま巡回心エコーサポートセンター」の概要

善仁会グループでは、透析患者さまに向けた心エコー(心臓超音波検査)の巡回サポートに取り組んでいます。患者さまの心疾患の早期発見、そして安心につなげるべく、各施設を臨床検査技師が巡回させていただいております。

「透析患者さま巡回心エコーサポートセンター」は、年間スケジュールに沿って善仁会グループの透析施設を訪問し、心エコーを行っている部署です。
透析患者さまは、透析導入時点で心疾患のリスクが高いことが知られています。ゆえに定期的な循環器の検査が必要と考えられますが、ADL(日常生活動作)の低下や高齢化などで循環器科の受診が困難な患者さまも見受けられます。「それならば、臨床検査技師が透析施設に伺い、心エコーを実施できないものか」と考え、2012年8月より神奈川エリアで活動を開始いたしました。その後、2014年5月から東京エリアにも業務を拡大しております。
現在は、神奈川エリアで4名、東京エリアで2名の臨床検査技師が巡回を行っております。また、超音波診断装置の移動には、各施設のケアドライバーの協力を仰いでおります。横浜第一病院と吉祥寺あさひ病院における心エコーに加え、神奈川・東京エリア各々2系統の巡回ルートで、各施設にて心エコーを実施しています。超音波診断装置の移動上の理由から、透析施設の巡回頻度は各系列で週1施設を基本とさせていただいております。
現状では、善仁会グループすべての透析患者さまに対し、年1回の心エコーを行うまでには至っておりませんが、前年度の依頼実績や、次年度の依頼件数に応じ、極力、施設の希望に沿うようスケジュールを立てて巡回しております。



心エコーは非侵襲的(体に負担をかけない)検査で、循環血流量の評価、収縮性ならびに拡張性心機能障害の診断、弁膜症、肺高血圧、心膜、心筋疾患の評価に有用です。一回の検査時間は20~30分程度です。心エコーの正確な画像を撮影するためには、左側臥位(患者さまの左側面を下にする姿勢)や、臨床検査技師が画像を確認しやすい薄暗い環境が重要であるため、それらのためのご協力をお願いする場合もございます。

心エコーの実績は、臨床検査技師の増員や施設からの依頼増加に伴い、2012年の455件から2018年の5,335件まで増加しております(図1)

2018年度の実施件数中、善仁会グループの透析患者さま4,682名を対象に追跡調査を行った結果、383名が循環器受診を勧められており、そのうち215名の方が受診されました。主な診断結果は虚血性心疾(36%)・弁膜症(21%)・心不全(12%)・不整脈(10%)などでした(図2)。心エコーにより、疾患の早期発見、延命に至った例もございます。

今後も、私たちは患者さまの心疾患の早期発見・治療、そして何より皆さまの安心・快適な透析生活に寄与できるよう取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。