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医療トピックス

2022.6.9

「巡回シャントエコー」による患者さまサポートへの取り組み

透析患者さま巡回シャントエコー
サポートセンター
課長 臨床工学技士 鈴木 安信

善仁会グループでは、巡回シャントエコーメンバーがグループ内の透析施設を訪問して、バスキュラーアクセス(シャント)の状態を確認する「巡回シャントエコー」に取り組んでいます。今回は、その取り組みについて紹介させていただきます。

透析患者さまの高齢化、長期透析患者さまの増加に伴いまして、穿刺の困難な方やシャント合併症も増加してきています。また、ADL(日常生活動作)の低下などで、検査のために透析施設以外の医療機関に通院することが難しい患者さまが多くなってきております。そこで、各施設からの依頼(医師の指示)に基づいて、シャントエコー実施者がグループ透析施設に訪問して、シャントエコーを行う「巡回シャントエコー」を2013年10月より開始しました。

当初は一人で始めた巡回シャントエコーでしたが、現在では9名の巡回シャントエコーメンバー(常勤3名、透析室との兼務6名)となり、活動しております。2020年は10月末までで、5,516件(4,223名)、 2013年10月~2020年10月末までに25,284件(9,733名)と多くの患者さまに対して巡回によるシャントエコーを行っております(図1)。

 

それではシャントエコーでは何を見ているのかといいますと、シャントに流れている血流量や血液の流れにくさなど、血流の状態やシャントの能力を評価する“機能評価”(写真1)と血管走行や狭窄の程度などを評価する“形態評価”(写真2)を行っております。

    
  写真1 機能評価                写真2 形態評価
  波形と血管の太さから、シャント血流量や血液の   狭窄部は血流が速いため、色を付けることで
  流れにくさを算出して、評価します。        狭窄の見落としを防ぐことができます。

 

シャントエコーは透析室のベッドサイドで行うことができ、所要時間はおよそ15分前後です。検査結果を総合的に評価して、結果を主治医、透析室スタッフに伝えて情報共有しております。2019年は5,701件のシャントエコーを行っており、607件(10.6%)が新規受診や受診予定日より早める必要があると評価しました。そして評価した結果に基づき、主治医の判断で病院を受診していただいております。受診した結果、治療が必要となり、バスキュラーアクセスを救済できた事例も数多くございます。私たちメンバーもホッとするひと時です。

シャントの5年開存率が60~70%と言われておりますが、上手く使えば10年以上も使用することが可能になります。シャントの管理とケアは「ふれあい219号(2019年7月発行)」に、横浜第一病院バスキュラーアクセスセンター笹川センター長による誌面がございますのでそちらをご一読していただければと思います。

シャントは患者さまが透析を続けていく上でとても大切なものです。シャントの状態は日々変化しますので、変化に敏感になることが長持ちさせる秘訣だと思います。透析室スタッフと巡回シャントエコーによる管理を今後も進めて参ります。この記事を読んでいただき、「シャントエコーを一度もしたことがない」「久しぶりにシャントエコー検査を受けたい」などのご要望がございましたら、遠慮なく施設スタッフにご相談ください。