2025.8.6
前回の「透析患者さまシャントサポート① 管理とトラブルについて」に引き続き、バスキュラーアクセスセンターの医師より、よく起きるトラブルとその兆候などについてご紹介いたします。
A1. シャントは患者さまご自身の体の一部ですから、毎日よく観察するとよいでしょう。「専門家じゃないからわからないよ」と最初は思うかもしれませんが、毎日触ったり聴診器で音を聴いたりしていると、いつもと何かが違うということがわかると思います。透析の際、看護師や臨床工学技士は毎回同じ人ではないので、一番変化に気づけるのは患者さまご自身です。ご自身で観察することが難しい場合は、ご家族が聴いたり触ったりして差し上げてください。
時間帯や透析前後、血圧、シャントの拡張術前後でもまったく変わってきますから、試しにやってみてください。もちろん腫れている、赤くなっているなどの見た目や、痛い、手が冷たいなどの感覚も大切です。
A2. 穿刺前にシャントの腕を石鹸で洗っておくとよいでしょう。皮膚は体の中と外を分ける大事な壁ですので、細菌が侵入しないように皮膚を正常に保っておくことが大切です。かゆみで掻いてしまったところや、テープかぶれを起こしているところに穿刺すると、感染のリスクが上昇しますので、皮膚トラブルを抱えている場合には、担当の先生に相談してみてください。
また同じところばかりに刺してしまうと感染や出血の原因となりますので、穿刺部は日によって変更するようにしましょう。痛み止めのテープを貼っている方は、貼る位置を変更しなければいけませんので、かかりつけの看護師や臨床工学技士にご相談ください。
A3. シャントに異常を感じたら、まずはいつも通院しているクリニックの先生やスタッフにご相談ください。緊急性があるのか、次の透析日まで待てるのかを判断してもらえます。シャント不全は透析の状態、全身状態によって治療法が変わりますので、シャントの治療をする病院はクリニックからの情報が必要となります。緊急性がある場合は、そのまま病院を受診し、当日中に治療、または入院になることもあります。
今回はQ&A形式で、よく起きるトラブルとその兆候などについてご紹介いたしました。次回は善仁会の取り組み「透析患者さまとシャント③ シャント管理サポート」についてお伝えいたします。