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お役立ちコラム

よくわかる透析の基礎知識

2025.4.15

血液ろ過療法

吉祥寺あさひ病院
院長 有村 義宏

血液ろ過療法は、図1に示すように、血液をヘモフィルターと呼ばれる装置でろ過し、老廃物を取り除いて、きれいな補充液をいれる治療法です。

図1 血液ろ過療法 老廃物のたまった血液がポンプを通って脱血しへもフィルターを通って補充液を追加され、返血される図

ヘモフィルターは、たくさんの細い管(中空糸)で構成されており、管の中を血液が流れています。中空糸には目にみえない小さな穴が多数空いており、血液側に陰圧をかけることで、老廃物を含む水分を膜の外側に引き込んでろ過します(限外ろ過)。これにより体重の約3分の1(例えば、体重60kgなら20L)の体液をろ過液として除去します。そのかわりに、きれいな補充液(人の体液に近い電解質液)を血液の中に入れます。補充液の量は、ろ過量から除水したい水分量を差し引いたものです(例えば、体重60㎏で20Lをろ過液として除水した時に、1㎏の除水を目指す場合には、19Lの補充液を注入します)。

血液ろ過療法は、腎臓の働きに似ています。血液は腎臓でろ過され原尿となりますが、99%は再び血液に戻されます。戻される原尿は補充液と同様にきれいで、体に必要な成分を含んでいます。1%は老廃物などを含む尿として体外に排出されます。

血液ろ過療法は、血液透析よりも小分子量物質(尿素、クレアチニンなど)の除去効果は劣りますが、中分子量物質(アミロイドのもととなるβ2ミクログロブリンなど)を除去する能力に優れています。また、血圧低下を起こしにくく透析困難症の患者さまに適しています。しかし、大量の補充液が必要で、操作に手間がかかることや費用がかさむという欠点があります。