2024.7.12
腎臓の働きが悪くなると尿が少なくなり、老廃物、カリウムやリン、水分などが体の中に溜まります。これらを血液から取り除く治療を「血液浄化療法」といいます。血液浄化療法には、血液透析療法、 体外式限外ろ過療法、 血液ろ過療法、血液ろ過透析療法の4つがあります。前回は「血液透析療法」について解説しました。今回は「体外式限外ろ過療法」についてお話しいたします。
体外式限外ろ過療法(ECUM:イーカム)では、血液透析療法と同じくダイアライザ(人工腎臓)を用います。血液透析療法は図1で示すようにダイアライザ内に透析液を流して透析膜を通して拡散(濃度差が同じになるように物質が濃い方から薄い方へ移動)で血液から老廃物(尿毒素)を除き、限外ろ過で水分を除去します。
これに対して、体外式限外ろ過療法は、図2に示すように透析液の流れを止めて、限外ろ過で水分のみを取り除く方法です。限外ろ過は、透析装置内の除水ポンプで透析膜の外側(透析液側)から透析膜の内側を流れる血液を引っ張る力(陰圧)を作り、血液中の余分な水分を強制的に透析膜の外側(透析液側)に移動させることで除水する方法です。
体外式限外ろ過療法は、水分増加のために心臓が疲れて血液を送り出す力が弱っている場合(心不全)や肺に水が溜まっている(肺水腫)を起こした場合に行われます。また体外式限外ろ過療法は「拡散」を利用しないため、体外循環中に血圧低下を起こしにくく、血圧が低く血液透析療法では水分を除去しきれない場合にも行われます。