2017.3.22
3.オンラインHDFのメリット
オンラインHDFは理論的には優れた治療法です。オンラインHDFには、表に示すように多彩な臨床効果があると報告されています。とくにオンラインHDFがHDより優れている点は、透析アミロイドーシスの予防と透析困難症(透析中の低血圧)の治療であると報告されてきました。そのほかにも、レストレスレッグ症候群(じっとしていると脚がむずむずしたり異常な感覚が現れる症状)、心不全、末梢神経障害、皮膚掻痒、皮膚乾燥などにも有効だといわれています。しかし、このような病態に対して、必ずしも期待通りの効果が得られないこともあり、評価はまだ定まっていません。その理由は明らかではありませんが、HDの性能がHDFの特徴に近づいたため、HDFのメリットが十分に発揮できないのかもしれません。また、HDFのメリットを享受するには、数年以上の長期間が必要なので効果の判定がむずかしいのかもしれません。なお、エリスロポエチンの効果が不十分な貧血にも有効だと報告されましたが、この効果には疑問が持たれています。
元気になった、食欲が増した、治療後の疲れが少ないなどの効果を強調する方がおられますが、患者さんによる違いが大きい症状です。また、透析時間を短縮する目的でHDFを選択する方がおられます。HDでは透析時間が長いほど透析効率が増大しますが、HDFではその効果は限定的です。しかし、透析時間が長いほうがからだへの負担が少ないことはHDでもHDFでも共通することですから、HDFだからといっても透析時間を短縮しては本末転倒です。
4.オンラインHDFの問題点
血液浄化では、除去する対象となる尿毒素がすべて明らかになっているわけではありません。また、分子量が大きい物質の除去を追求すると、からだに必要な物質まで除去してしまう危険性をはらんでいます。どのくらい分子量の大きい物質を除去すべきか、また安全に除去できるかを知りたいのですが、確実な答えがないことがネックです。
大きい分子量の物質を取り除こうとすれば、からだに大切な蛋白質の一部であるアルブミンも必然的に除去されます。アルブミンは体内で合成されて補給されますが、合成能力を超えて大量に除去すれば栄養障害(栄養失調)を起こす可能性があります。この点がHDFの唯一のデメリットですから、定期検査で血中アルブミンを監視します。食欲がない患者さんでは注意が必要ですが、食欲がある患者さんではアルブミン減少が問題となることはほとんどありません。
5.オンラインHDFの選択
どのような場合にオンラインHDFを選ぶべきでしょうか。当面は、いままで述べたような効果を期待してオンラインHDFを選ぶのがよいでしょう。しかし、アルブミン減少以外に明らかなデメリットがありませんから、「デメリットがないからオンラインHDFを希望する」という考えも一つでしょう。
今後、HDF療法が限定された領域だけではなく広い範囲で使われるようになれば、臨床効果がもっと明らかにされるものと期待しています。