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お役立ちコラム

よくわかる透析の基礎知識

2023.12.18

なぜ透析時間は週3回、1回最低限4時間が必要なの?

吉祥寺あさひ病院
院長 有村 義宏

「透析でベッドに寝ている時間がもっと短くなればよいのに」と思われている患者さまは多いかと思います。「どうして透析は1回4時間以上必要なの?」という質問をよく受けます。透析時間がもっと短いと楽に透析ができて、ほかのことにも時間を使えるのに、と思っておられる方々もいらっしゃると思います。

日本で現在、ほとんどの透析患者さまが週3回、最低1回4時間の透析を受けているのには、しっかりとした理由があります。人の腎臓は、毎日毎日、寝ている間も働き続けて尿を作り、水分、食塩、カリウム、リンの調節、さまざまな老廃物の処理などを行い、さらに造血ホルモンやビタミンDを作っています。医学の進歩で、人類は人工腎臓を生み出し、その性能は日進月歩でよくなりました。しかし現在の性能では、まだまだ腎臓にはかないません。さらに、日常生活を考えるとずっと透析をしているわけにはいきません。

日本透析医学会や国際機関の研究によると、透析時間1回4時間以上に比べて、4時間未満では透析不足となり、死亡リスク(危険性)が高くなると報告されています。このため、日本透析医学会では週3回、1回4時間以上の透析を推奨しているのです(維持血液透析ガイドライン)。透析が不足すると、からだに尿毒素が溜まって肌の色が悪くなったり、動脈硬化などが進み、老化が進むことも知られています。透析中、血圧が低下し、透析を継続できないときなど特別な場合を除いて、週3回、1回4時間という必要最低限の透析は、若さを保つためにも必要です。なお、透析を開始した時期(透析導入期)には、透析により「不均衡症候群」という吐き気や頭痛などを起こす症状が出ることがあるため、週に数回、1回2時間や3時間など短時間の透析を行うことがあります。しかし、からだが透析に慣れてきたら週3回、最低限1回4時間の透析が基本となります。

4時間の透析中は、決して楽なことばかりではないと思いますが、ベッドに寝ている時間を、より快適に過ごすため、テレビや読書、睡眠、軽いリハビリ運動に利用されておられる方も多いです。若さを保ち、命を守るため、4時間の過ごし方を工夫していただければと思います。