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よくわかる透析の基礎知識

2017.3.29

血液浄化療法

横浜第一病院
院長 大山 邦雄

1.血液浄化療法とは
一般に、透析療法と言われてますが、血液浄化療法が正式な名称です。血液浄化療法とは、「血液中に溜まった病気の原因となる又は関係する物質や血液成分を取り除くために血液体外循環法または腹膜潅流法を用いて血液中の病因物質を取り除き血液(体液)を正常に保ち、疾患を治療する方法」を言います。

2.その歴史
1945年Kolffがコイル型ダイアライザーを用いて急性腎不全患者の救命に成功したのが人工腎臓(血液浄化療法)の始まりです。その後の科学技術の進歩により、ダイアライザーは平板型から現在の中空糸(hollow fiber)型が開発され、透析膜も最初のセルロース膜から合成高分子系まで多くの透析膜が製造されるようになり、病態に応じたダイアライザーが選べるようになりました。普通の血液透析から血液濾過透析、血液吸着療法なども開発され、慢性腎不全だけではなく、敗血症や自己免疫疾患の治療に使用されるようになっています。
腹膜潅流法は1920年代ごろから臨床研究が進み、1946年にはボストンの病院でFineが急性腎不全患者に行っています。1960年にはBoenが自動腹膜潅流装置を開
発しました。1978年にCAPD(continuous ambulatory peritoneal dialysis 連続携行式腹膜透析)の装置が実用化され、間欠的腹膜透析からCAPDが慢性腎不全の維持透析療法として発展しました。

3.血液透析と腹膜潅流法
このように、透析療法は急性腎不全に対して、救命を目的に始められた治療法ですが、技術の進歩により、慢性腎不全に対する長期的な治療法として発展してきました。急性腎不全は多くの場合、2~4週間で腎臓が回復してきますから、その間の水分バランス、電解質バランスを維持するという短期勝負でよかったのですが、慢性腎不全の腎代替療法としての透析療法は年単位の長期的な維持管理が要求されます。そして今では、透析歴20~30年という患者さんも大勢みられる状況になっています。
慢性腎不全の透析療法には、血液を体外に循環させ、ダイアライザーという透析膜を通して行う血液透析(図1)と患者さん自身のお腹の腹膜を透析膜として利用する腹膜潅流法(図2)の二つがあります。

さらに、慢性腎不全の治療として腎移植がありますが、欧米に比してその広まりは大きく遅れています。

慢性腎不全の患者さんが透析を開始するにあたって、どちらを選択するかを決めなければなりません。それぞれに、長所、短所があり、患者さんの身体的、社会的活動状況を十分考慮して決めていくべきでしょう。現在の日本の状況は、日本透析医学会の調査で、血液透析が約97%、腹膜潅流が約3%と圧倒的に血液透析が選択されています。