第5期 エキスパートCE認定者 / 水野綾子 ( 臨床工学技師 )
何か違う─。以前、医療機器のソフトウェア開発に携わっていたとき、そんなモヤモヤをずっと抱えていました。小学生の頃、入院したときに夢見た「医療の仕事に関りたい」という私の希望は叶ったかのように思えたのですが、どこか物足りなさがありました。理由を考えて気づいたのは、患者さまと接する機会がないということでした。ソフトウェアの開発は、基本的にはパソコンに向き合うことが中心です。もちろんやりがいもありましたが、もっと患者さまのそばに近づき、実際に寄り添うような仕事に就きたいという気持ちが捨てきれず、再度学校に入り直しました。
CEになってからは、仕事内容が一変。患者さまと接する機会が増えたのはもちろん、スタッフとコミュニケーションを取りながら進める内容も多くなりました。この仕事は、何か起こったときに素早い判断や最適な行動が求められるため、日頃からクリニック全体で密なコミュニケーションを図ることが欠かせません。ときには「週末に行ったあのレストランの料理が美味しかった」というプライベートな話をすることもありますよ。職場の雰囲気もいいので、笑顔も自然と出るようになりました。勤務中に、患者さまから「笑顔がいいね」と言われるくらいです。それは目指していた仕事に就いた充実感に加えて、今のような素敵な職場環境があってこそだと思います。
エキスパートCEになったとき、クリニックの休憩室で「合格おめでとう会」を開いてもらいました。ケーキを買ってきてもらって、ジュースで乾杯して。私は本当に職場のスタッフたちが大好きで、研修中も「がんばってね」といった声を頻繁にかけてもらいました。ですから合格の報せを聞いたときは、「早くみんなに知らせなきゃ」って真っ先に思ったほどです。今は新人を指導する立場になりましたが、上司やまわりのスタッフを巻き込みながら、クリニック全体で新人を育てることを意識しています。仲間思いのスタッフが集まっている職場だからこそできる教育を、これからも行ってゆくつもりです。