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医療トピックス

2021.3.26

腹膜透析(CAPD)について (2)~ 腹膜透析の種類~

横浜第一病院
内科診療部長 田山 宏典

腹膜透析(PD)は、基本的に患者さま自身で行うため、個人の生活スタイルに合わせることができます。基本はPD液を4時間~10時間おきに1日3~5回交換を行います。交換は、日常生活の中で、自宅や職場、学校などで行うことができます。朝から就寝時にかけて1日3~5回交換を行う方法(CAPD)が基本です。
また、夜間就寝中に自動腹膜環流装置を使用し、PD液を交換する方法(APD)があります。これは、学生や社会人の方が、学校や仕事の都合などで日中にPD液の交換ができない場合、自動腹膜環流装置を使い、自宅で就寝中に自動的に2~4回のPD液の交換を行う方法です。
尿量が低下し、夜間のAPDだけでは透析量が足りなくなった場合、日中もPD液を貯留する方法(CCPD)もあります。


PD方法は、体格や腹膜の状態によっても向き不向きがありますが、生活スタイルによって選択ができます。PD液はブドウ糖主体の液とイコデキストリン主体の液があり、ブドウ糖主体の液は、ブドウ糖濃度が1.5%と2.5%の2種類があります。腹膜の性質は個人によって異なり、PD中も経時的に変化しますので、腹膜の性質に関係ある除水量や尿量、貯留時間、体重の変化(体液量)などによって、使い分けます。ブドウ糖濃度が高い液の方が、除水量を増やすことができますが、余分なブドウ糖を負荷することになります。
通常はブドウ糖濃度1.5%液から使用し、尿量低下などに応じて、2.5%液に変更し、さらに除水が必要な場合はイコデキストリン液を使用します。また、長時間貯留する場合、ブドウ糖液は、体内に吸収されてしまうため、除水量が低下しないイコデキストリン液が適しています。生活スタイルや尿量を考慮し、使用するPD液・貯留時間を決めていきます。PDから透析療法を開始することを、PDファーストと言いますが、生体膜を利用しているPDは、高濃度のブドウ糖負荷よる腹膜劣化や、透析開始3~8年後には無尿状態になること考慮しますと、PD単独では、十分な除水や尿毒素の除去ができなくなり、週3回の血液透析(HD)または、腎移植への移行が必要でした。しかし、10年程度前から週1回のHDを併用することでPD単独での除水・透析不足を補うことができ、無尿状態でもPDを継続することが可能になりました。このようなPDと週一回のHDを併用することを、HD併用療法といいます。週1回は、病院やクリニックでHDを行うため通院が必要ですが、その他の日は、自宅で過ごすことができます。また、HD日はPDを行わないため、腹膜を休ませることができ、腹膜劣化を和らげることができます。