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お役立ちコラム

よくわかる透析の基礎知識

2021.8.25

透析治療とは -充分な透析、自己管理、薬-

吉祥寺あさひ病院
院 長 有村 義宏

吉祥寺あさひ病院院長の有村です。今回からこのコーナーを担当することになりました。よろしくお願いします。私は1978年に医師となり、以来40数年間透析治療に携わって来ました。医師になった当時の人工腎臓(透析機器)は今と比べるとずっと性能が悪く、ほとんどの方が痒みや透析中の筋肉のけいれんを訴えられ、透析膜が破損することもたびたびでした。透析センターでは、毎朝、貧血の治療のために輸血の準備するのが日課でした。今では、当時からは想像できないほどに透析医療は進歩しています。

透析治療は、腎臓の代わりをする治療です

腎臓の主な働きは3つあります。ひとつ目は尿をつくることです。尿には水分だけでなく、体の中でつくられた老廃物やミネラル(ナトリウム、カリウム、リンなど)などが含まれています。尿をつくることにより、水分の調節、老廃物の排泄、酸やミネラルの調節をします。このため、腎臓が悪くなると水分が体に溜まるため顔や手足がむくみ、老廃物も溜まるため倦怠感や皮膚の色素沈着などがでてきます。また、リンが高くなると骨が弱くなってきますし、動脈硬化も進みます。2つ目の腎臓の働きは血液をつくるホルモン(造血ホルモン:エリスロポエチン)などをつくることです。腎臓が悪くなると貧血が進み、疲れやすくなります。3番目の働きは、ビタミンDを活性化することです。ビタミンDの活性化が不足すると骨が弱くなります。
人工腎臓は、このような腎臓の働きのうち、水分や老廃物の除去、酸やミネラルの調節を行います。以前に比べて人工腎臓の性能は良くなりましたが、1日中働いている腎臓にはかないません。造血ホルモンをつくることやビタミンDの活性化もできません。このため、患者さまご自身での飲水や塩分の制限、貧血や骨に対する薬による治療が必要となります。

充実した透析ライフには、充分な透析と自己管理、そして貧血を良くし骨を強くする薬の調節が大切です。