MENU 使い方
ガイド

私たちは、患者さま、お客さまへ
トータルサービスを提供する
医療・福祉グループです。

文字サイズ
標準
背景色

採用情報

CLOSE

お役立ちコラム

よくわかる透析の基礎知識

2021.12.15

貧血について ①貧血とは?

吉祥寺あさひ病院
院 長 有村 義宏

今回から3回にわたり貧血についてお話します。1回目は「貧血とは?」、2回目は「貧血の検査」、3回目は「貧血の治療について」です。

血液の中には、赤血球という赤い色をした円盤上の小さな細胞があります。大きさは約8ミクロン(0.008ミリメートル)で、血液1マイクロリットル(0.001ミリリットル)の中に男性では420~570万個、女性では380~500万個含まれています。小さいですが、たくさんあるので赤血球を1列に並べると地球4.4周分になります。赤血球の中には、赤い色をしたヘモグロビン(血色素)という鉄を含むタンパク質があります。鉄には酸素をくっつける性質があります。ヒトは息を吸うことによって、肺で空気中の酸素を赤血球の中の鉄にくっつけます。酸素をくっつけた赤血球は動脈の中を流れ、筋肉や内臓など体の隅々まで酸素を配ります。酸素を配り終わった赤血球は静脈の中を流れて肺に戻り、また酸素をくっつけます。1個の赤血球の寿命は約120日です。

貧血とは、血液の中にある赤血球の数や赤血球の中にあるヘモグロビンが減っている状態をいいます。貧血になると、体に酸素が足りなくなるので、疲れやすさ、動悸(どうき)、息切れ、めまい、頭痛、不眠、集中力低下など、さまざまな症状が起こります。

貧血を起こす原因には、
① 赤血球やヘモグロビンを作ることができない場合(腎臓が悪い場合や鉄の不足 など)
② 赤血球やヘモグロビンが体の外に出ていく場合(出血)
③ 赤血球やヘモグロビンが壊される場合(肝硬変や過度の運動など)
の3つがあります。
赤血球は骨の中にある骨髄というところで作られますが、腎臓は骨髄に働きかけて赤血球を作らせるエリスロポエチンというホルモンを作っています。このため、腎臓の働きが悪くなるとエリスロポエチンがうまく作られなくなり貧血になります。これを腎性貧血といいます。透析患者さまの約85%に腎性貧血が見られます。