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お役立ちコラム

よくわかる透析の基礎知識

2023.1.31

血管を元気に -若さを保つ-

吉祥寺あさひ病院
院長 有村 義宏

血管は心臓から出て枝分かれしながら、かつだんだん細くなりながら、体中に張りめぐらされています。血管の中には血液が流れており、その血液には赤血球やたんぱく質、ビタミンなどさまざまなものが含まれていて、酸素や栄養を細胞に与え元気にさせています。血管は都市に張り巡らされた水道管に例えられます。水道管は固く動きませんが、血管は水道管と違って生きているので、少し太くなったり細くなったりして血圧や血液の流れを調節しています。水道管は、ときどき傷んだり、物が溜まって狭くなり、詰まることがあります。血管もさまざまな原因で血管の壁が傷んだり、脂肪やカルシウムが溜まり、狭くなって詰まることがあります。血管には心臓から出ていく血液が流れる動脈と、心臓に戻る血液が流れる静脈があります。脂肪やカルシウムなどが動脈に溜まると動脈は狭く硬くなり、動きも悪くなります。これを動脈硬化といいます。動脈硬化になると充分な血液を細胞に送れなくなり、心筋梗塞や脳梗塞、足の壊疽(えそ)などを起こしやすくなります。

血管は内側を覆っている膜(内膜)と真ん中の膜(中膜)、そして外側の膜(外膜)の3層構造になっています。動脈硬化には、下図のように次の3つのパターンがあります。

1つ目は内膜が厚くなるパターン(粥状硬化:じゅくじょう硬化)です。これは動脈の内側が傷つきコレステロールなどが溜まることで起こります。これには加齢や高コレステロール血症、喫煙やメタボリック症候群が関連しています。
2つ目は中膜が厚くなるパターン。これは透析患者さま特有にみられ、中膜にカルシウムを含む物質が溜まる(石灰化)パターンで中膜硬化といいます。透析間の体重(体液量)増加、尿毒素の蓄積、カルシウム・リン代謝異常などが関連しています。
3つ目は、細い動脈の壁3層全体がもろくなるパターン(細動脈硬化)で、高血圧や高血糖が関連しています。
透析患者さまの中には、これらのパターンを1つだけお持ちの方、2つある方、全部持っている方がおられます。また動脈硬化の程度もさまざまです。年齢を重ねても、適正な透析間の体重増加、充分な透析、リン・カルシウムのコントロールで動脈硬化を抑え、血管を元気に保ちましょう。また、コレステロールや血圧、血糖が高い方はこれらも併せてコントロールして血管の若さを保ちましょう。