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お役立ちコラム

よくわかる透析の基礎知識

2017.3.29

血液浄化療法 ~血液透析と腹膜潅流~

横浜第一病院
院長 大山 邦雄

前回で述べましたように、慢性腎不全の血液浄化療法には大きく分けて、
・血液透析(HD)
・腹膜潅流(CAPD:連続携行式腹膜潅流)
の二つの方法があり、それぞれに特徴と相違があります(表1)。


最近では自宅でのHDが一部で行われるようになりましたが、まだまだ普及しておらず、ほとんどのHDは透析クリニックに週3日通院して、1回4~5時間のHDを行います。
一方、CAPDは導入時に入院してCAPDカテーテルを腹腔内に留置し、その管理方法やCAPDの潅流液交換などの操作の指導を受けてからは、自宅で本人(または家族)が行います。特別な異常がないかぎり、月一回程度の外来通院ですみます。このように、HDでは週3日通院するため、社会的、日常的活動に制限が生じますが、CAPDではそのような制限はありません。

仕事など一般の人と同じ活動をされる方はCAPDが適していると言えますが、合併症として腹膜炎や腹膜機能の劣下が起こり、約10年ぐらいでHDに移行する場合が多いのが現状です。最近では、高齢者でADL(日常生活動作)の低下が強くなり、HDの通院が困難な方にCAPDが導入される場合があります。この場合は、本人だけでなく、同居のご家族などの支援が必要ですが、週3日の通院は必要なくなります。

一方、HDを受けながら、社会的活動を十分こなしている方も大勢いらっしゃいます。透析クリニックでは仕事が終わって夕方の5~6時から行う準夜透析や夜10時~朝6時に眠っている間の深夜8時間透析も行っています。深夜透析を行っている医療機関はまだ多くはありませんが、一定の条件を満たす患者さまには、横浜第一病院でも実施しています。準個室で夜寝ている間にHDを行い、朝起床とともに終了して会社に向かうという事が可能になります。

このように、透析導入時にHDとCAPDの説明を受けて、ご自分の生活状況、社会的活動を考慮して、主治医やご家族の意見を聴いて、HDまたはCAPDのどちらを選ぶかを決める必要があります。